「地方創生」という言葉に、なぜか引っかかる理由
エバンジェリストの内省

こんにちは、エバンジェリストです。【エバンジェリストの内省シリーズ】と銘打って、私の内省から湧き出た空想・妄想・構想などなどを不定期にお送りしていきたいと思います。
今回のテーマは地方創生。地方の課題解決に取り組む多くの方々が使う「地方創生」という言葉。しかし、この言葉に込められた視点は、本当に地域の未来につながるものでしょうか。ある若者との出会いをきっかけに、言葉の奥にある「まなざし」について考えてみました。地域と向き合う私たちに必要なのは、創生ではなく再生なのかもしれません。
先日、ある若者と出会いました。彼は「地方創生に興味があるんです」と語りました。その目は澄んでいて、まっすぐで、まさに希望そのものでした。
けれど、私の中にはどうしてもひとつの違和感が残りました。それは彼に対してではありません。「地方創生」という、その言葉に対してでした。
「創生」という言葉にひそむ違和感
創生——この言葉には、何かをゼロからつくり出すような響きがあります。しかし私は、それがどこか”独りよがり”な営みに思えてしまうのです。まるで外からやってきた誰かが、「良かれと思って」変えようとしてくるような、そんなまなざしが透けて見えます。
たとえば、「地方も東京のようになればいい」——そんな前提に無意識に立ってしまっているような気がするのです。都市化、開発、利便性。それらを「良いこと」として地方に”与えていく”。そこには、土地の歴史や文化への敬意、そして何より対話が、抜け落ちてはいないでしょうか。
創生という言葉は、既にそこにあるものを見えないものにしてしまいます。人々の営みを、文化を、記憶を。まるで白紙のキャンバスに絵を描くように、地方を捉えてしまう危うさがあります。
「再生」というまなざし
私が感じる”しっくり”は、「創生」よりも「再生」という言葉に宿っています。
再生とは、かつてそこにあったものと丁寧に向き合うことです。土地に眠っている記憶に耳を澄ませ、人々の営みの跡や、風土の流れを感じながら、もう一度、その場所と一緒に輝いていこうとすること。
それは決して上書きではありません。誰かの物語の続きを、今を生きる私たちが紡ぎ直す営みだと思います。あるいは、かすれて読めなくなった文字を、そっとなぞって読み解くような行為。
再生には、リスペクトがあります。その土地に生きてきた人たちへの、長い時間をかけて育まれてきた文化への、そして自然との共生の知恵への敬意があります。
地方を変えるのではなく、地方と共に変わる
「過疎地」という言葉の背景には、かつてそこに”人がいた”という事実があります。人がいたということは、文化があったということ。営みがあり、物語があり、そして今もその土地に根付いた何かが息づいているということです。
だから私は思います。地方を”創生”するのではなく、地方と”再生”していきたいと。この場所にあるものを尊重しながら、共に新しい可能性を描いていきたいと。
それは時に、効率的ではないかもしれません。すぐに成果が見えないかもしれません。けれど、そこには持続可能な変化があります。土地と人とが真に結ばれた、本物の豊かさがあります。
私たちが目指すべきは、地方を変えることではなく、地方と共に変わることなのではないでしょうか。
最後に:若者の言葉に希望を重ねて
あの若者の「地方創生に興味があるんです」という言葉の奥には、きっとその土地に貢献したいという、純粋な思いがあります。それは間違いなく、希望です。
私たち大人にできることは、その希望に別の言葉を添えることかもしれません。たとえば「地方再生」や「地域再興」、あるいはまだ名前のないまなざしを。
言葉はただの道具ではありません。言葉は、私たちの”まなざし”を形にしたものだと思います。そして、まなざしが変われば、きっと行動も変わります。地方との向き合い方も、きっと変わっていくのです。
私たちが大切にしたいのは、その土地と人に寄り添い、共に歩んでいく姿勢です。それこそが、真の意味での地域との共創につながると信じています。

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