会社の会議に学生を招待したら二項対立が二項動態になった
中小企業のDX会社行事
EVANGELISTこんにちは。エバです。
コンピュータ技研の経営陣とマネージャーが集まって会社の未来を描く半年に1度の会議、その名も「ミライ会議」。2月に行われたミライ会議に大学生7名が参加してくれました。その結果、私たちにとってとても気付きの多い会議になりました。中でも「ロールチェンジ・ダイアログ」というコンテンツが大盛況。参加者全員が「過去一の会議だった」と口を揃えた当日の様子をお届けします。
ロールチェンジ・ダイアログとは
ロールチェンジ・ダイアログ。この言葉を初めて聞く方も多いでしょう。それもそもはず、これはコンピュータ技研が考案したオリジナルのコンテンツだからです。
ではロールチェンジ・ダイアログとはどんなものか。直訳すると「役割を替えた対話」ですが、以下に簡単な説明を書き記していきます。
■事前にアンケートで参加者を2つの立場に分ける
今回はビジネスにおけるスタンスとして「保守派」と「革新派」に分けました。
■特定のテーマのもと、立場(役割)を変えて対話していく
アンケートで「保守派」として回答した人は「革新”役”」として、「革新派」と回答した人は「保守”役”」として。それぞれの役割を変えて対話を進めていきます。
■発言はファシリテーターに指名された人がする
参加者が好き勝手発言しないように、ファシリテーターが指名された人が発言を行います。
■10分×3ラウンドで実施
保守役、革新役をそれぞれ3つのチームに分割。毎回チームを入れ替えて合計3ラウンドの対話を実施しました。
以上がロールチェンジ・ダイアログの簡単な説明・ルールです。
ディベートを思い浮かべてもらうとイメージしやすいかもしれません。
なお、今回学生には革新派。すなわち保守役として参加してもらいました。
ロールチェンジ・ダイアログには会長も参加していたこともあり、学生に過度な緊張感を与えないために「ニックネームで呼び合う」といった工夫も行いました。
そもそも、なぜ学生が参加することになったのか
「そもそもなぜ学生が会議に参加することになったの?」
そんな疑問を持った人も多いでしょう。まずは皆さんの疑問を解消しておこうと思います。
実は私たちコンピュータ技研は2022年秋から2023年の年明けまで、甲南大学の経営学部で授業を受け持っていました。今回参加してくれた学生は、そのときの授業に参加してくれていたメンバーになります。
授業の内容は企業の課題を解決するPBL形式で行いました。
課題を解決するにあたって学生たちは半年間かけて、様々なインプットと対話を繰り返してきました。
インプットの主な内容は次のとおりです。
■経営・経営者から会社のビジョンや現状に対するインプット(実学に触れる)
■現場の若手社員へのインタビュー(現状を知る)
■中小企業の存在意義について知る
上記のインプットをベースに学生たちは魅力的な中小企業像や、その中で各企業がどうやって課題に向き合っていくべきかなどを対話していきました。
そして、授業の最後には学生たちが考えた課題に対する解決策や施策を発表してもらうという授業を行ってきました。
学生たちが提示してくれたコンピュータ技研の課題は次のとおりです。
「変容をテーマに掲げているが、変容のスピードや変容そのものについてこれていない社員がいる」
したがって学生たちは、コンピュータ技研には革新派と保守派がいること。そして、保守派の人たちに如何にして変わってもらうか。そこに課題を感じていることを知っている状態に会議に参加し、ロールチェンジ・ダイアログに参加してくれたのです。
※解決策について今回のブログでは割愛
革新派の学生からのプレゼンが終わり、いよいよロールチェンジ・ダイアログ
飛び交う意見とヤジ。あなた本当に革新派?
対話を進めていると不思議な現象が起こります。本来、保守役の対立意見があまりにも自然すぎる。「ロールチェンジしてるはずやのに、意見が普段と変わらない!」現象です。周囲からも「ホントは保守派だろ!」とヤジが飛び交う。発言した本人も「あれ?俺ホントは保守派なのかも?」と。
さて、ここからは今回のブログのメインである、ロールチェンジ・ダイアログに話を戻していきたいと思います。
ここで改めてロールチェンジ・ダイアログについて簡単に振り返っておこうと思います。
思い出しましたか?
普段、保守派の人は革新役として、革新派の人は保守役として対話していく。これがポイントです。
会議でも同様の説明を参加者に行い、みんながルールを飲み込んだところで対話のテーマ発表です。
みんなでテーマを確認して、いよいよロールチェンジ・ダイアログが始まります。
ファシリテーターに促され、革新役→保守役→革新役→保守役…の順番で対話が進んでいきます。
革新役(本来は保守派)は以下に保守役のメンバーを納得させられるか、革新派の気持ちになって言葉を紡ぎ発言していきます。
それに対して保守役はカウンターパンチを放つ。基本的には現状を維持すべく、革新役の意見に対して反対意見を述べていく。
それに対して、革新役は別の切り口で説得を試みる。保守役はそれに対して・・・。
基本的にはこれを繰り返しながらロールチェンジ・ダイアログは進んでいきました。
学生たちも社会人と同じ土俵で自分自身の意見を出していきます。その意見が革新役の心にグサグサと刺さります。笑
そして、とある保守役の発言時に事件は起こります。その事件の首謀者(発言者)をここでは保守役Aさんとしたいと思います。
革新役の意見に対して、反対意見を述べる保守役Aさん。すると周りがざわつき始めます。
その声に耳を澄ませてみるとこんな声が聞こえてきました。
「Aさん!いつもと発言の内容が変わってない!笑」
誰かがそう発すると、会場全体から「ホントは保守派だろ!笑」「(革新役から)こっちに来い!笑」などとヤジが飛び交います。
そしてAさん自身も「保守役としての意見がすらすら出てくるぞ。もしかしたら俺は保守派なのかも?笑」と自己認識を改めた様子でした。笑
ロールチェンジ・ダイアログは普段の自分とは違う立場で思考を巡らせることによって、様々な気付きを得られる素晴らしい取り組みです。
そして、自身をメタ認知することにも役立つ。そんな実感を得られた微笑ましい事件でした。
革新派も根本は保守なのかもしれない
ロールチェンジ・ダイアログが終わった後は参加者全員で感想シェアタイムです。
今回のロールチェンジ・ダイアログが盛り上がりを見せたのは、会長がノリノリで参加してくれたこともその要因として大きかったと感じています。
そんな会長の言葉がとても印象的だったので、このブログでもシェアしたいと思います。
「本当の革新派はいない。革新派も守りたい何かがあるから、変えたいと思う。だから根本はみんな保守派なんだ。」
「たしかに!」という言葉が参加者の頭を駆け抜けました。
何かを革新しようと挑戦して、手に入れたものを守ろうと保守的になる。
そして大切な価値観を守るために、あるときは革新的保守になったり、保守になったりする。
人間とはそんな生き物なのかもしれませんね。
であれば、何を守りたいのか、何を大切にしてくべきなのか。そこを組織として明確にしなければならないのでしょう。
私たちにとってその羅針盤となるのが企業理念です。企業理念と向き合い、改めて変えなければならないこと、変えてはいけないことを対話していく、明確にしていく。そして、革新が得意な人で役割分担したり、時には役割を変えてみたりしながら企業理念の実現に近づけていく。
そんなことができれば、私たちはより魅力ある中小企業として輝いていけるのかもしれません。
だって保守派も革新派も「会社をよりよい状態にしたい」とい想いは同じですからね。
なので、決して対立軸にあるものではないと思うのです。
最初は対立構造、すなわち二項対立だった両者が、互いの思考の芯に触れ、それが二項動態へと変化していく。
すなわち、互いの価値観を認め合い、どちらかが正しいではなく、互いを尊重しあい新しい価値観をつくっていこうという考動に変化していく。
その変化のために必要なプロセスがこのロールチェンジ・ダイアログだったのではないかと、私は振り返っています。
若者の想いに向き合うことの大切さ
学生が参加していたことが今回の会議の大きな特徴であり、それによって過去一番の盛り上がりを見せたことは間違いありません。
会議が始まる前は、「学生たちはマネージャーに混ざって、自分の意見を言えるだろうか?」という不安も多少はありました。
しかし、いざ会議が始まると学生たちは社会人に臆することなく、ストレートな意見を自分の言葉で出してくれていました。その発言には様々な学びや気付きに溢れたものでした。
実は会議が始まる前に、何人かのマネージャーと学生とでウォーミングアップと称して、簡単なグループワークを実施しました。
そこで「この人達は自分の話を聞いてくれる」。そんな心理的安全性を気づけたことも影響していたのかもしれません。
聞く姿勢を示せば、若者たちは会社を変える原動力となる意見やアイデアを出してくれる。
そこに向き合うことが会社を変えていくことにつながる。
そして私たちは若者や社員の想いを会社を変える原動力にするための装置としてオーナー制度(貢献と給与を自己申告する仕組み)を活用する。
そんな原点に立ち戻れた会議でもありました。
さいごに
学生を会議に呼ぶ。単純なことですが、その効果は絶大でした。
一方で、学生を会議に呼んで、ロールチェンジ・ダイアログをやっちゃえるコンピュータ技研という会社は良い意味でやばい会社なのでは?笑
そんなことを感じさせる出来事でした。
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